/ Elvis Presley
かってトム・パーカー大佐がマネジャーをしていたエディ・アーノルドが歌って65年にカントリー・チャートナンバー1になった楽曲。1988年にグラミー受賞している。
さらに63年にはレイ・プライスでもヒットしているなど多くのミュージシャンが取り組んできた。
ハンク・コクラン作詞・作曲による1963年の作品だ。
エルヴィス・プレスリーは1970年6月5日にアルバム『ELVIS THAT'T THE WAY IT IS』に収録した<群集の中のストレンジャー>などと併せて録音したが、こちらは『エルヴィス・カントリー/ELVIS COUNTRY "I'm 10,000 Years Old"』のファイナル・チューンとして収録された。
ファイナルにふさわしい情感溢れるナンバーとなっている。
ファイナルにふさわしい情感溢れるナンバーとなっている。
また死後1999年に来日記念アルバムとしてリリースされた『エルヴィス・ザ・コンサート/ELVIS THE CONCERT』にはライヴ・バージョンが収録されている。
<想い出のバラード/MAKE THE WORLD GO AWAY>は、世間を気にして別れたしまった、かっての恋人への慕情と後悔を歌ったものだが、決して過去に囚われているのではない。
もがきながらも、自分の内からこみあげる思いにしたがって明日に向かって突き進もうとする心情を全身全霊で歌うエルヴィスの凄さは生半可ではない。
もがきながらも、自分の内からこみあげる思いにしたがって明日に向かって突き進もうとする心情を全身全霊で歌うエルヴィスの凄さは生半可ではない。
誰に向かって歌っているのか?本当に聴衆に向かって歌っているのか?ふと、そんな疑問が過る程だ。言葉でない表現。
自分の気持ちを歌う、歌詞に気持ちを託しているわけでもなく、歌詞を超越した思いが聴衆と歌うエルヴィスとの間に存在している。何かを伝えようとしている。こんなにも一生懸命に伝えようとしている。
自分の気持ちを歌う、歌詞に気持ちを託しているわけでもなく、歌詞を超越した思いが聴衆と歌うエルヴィスとの間に存在している。何かを伝えようとしている。こんなにも一生懸命に伝えようとしている。
「誰に」という疑問はそれでも残る。
歌うことで、自分の気持ちを表現した。表現されたそれは多分、自分に伝えようとしているものだ。
エルヴィスという人は自分の中の音楽と自分を観に、聴きに来てくれる人や評論する人の反応のズレにとまどいながらも、歌っている瞬間において、すでに「自分」と「聴衆」さらには「評論家」の間の垣根もなかったのだろう。
垣根はないものの、そこには神々しいまでの尊厳が、最大の親しみをもって保たれている。それは<アメリカの祈り><偉大なるかな神>などのいかにも予め用意されたようなそれとは違う、さりげない<想い出のバラード>のようなところに真実はより強く宿っているように感じる。
ともすれば誰も気がつくことなく、見逃してしまうような原石の奥に佇む小さな小さなピュアな輝き。
ジェームス・バートンの奏でるサウンドに潜む光に聴き入るエルヴィス。その姿は「ほら、宝物見つけたよ。」と教えてくれているように見える。
「ねえ、みんな、凄いだろう。こんなに素敵なピカピカ見つけたよ」と自慢気に披露する。
「ねえ、みんな、凄いだろう。こんなに素敵なピカピカ見つけたよ」と自慢気に披露する。
ジェームスはエルヴィスにとって宝物を上手に探し出す悪友のような存在だ。おそらくリハーサルで何度もジェームスに「そう、その音」と嬉しそうに声をかけ、ジェームスが無くしていないか確認をする。
「それはみんなに見せなければいけないからね。」エルヴィスは聴くたびに、ひとり呟いたのだろう。--------「なくしちゃダメだよ。」
「それはみんなに見せなければいけないからね。」エルヴィスは聴くたびに、ひとり呟いたのだろう。--------「なくしちゃダメだよ。」
それはかって「僕の青い靴だけは踏まないで」と歌っていた頃とは違って、もう心あるものなら誰も踏みいることの出来ない魂の領域であり、それこそが真の「表現の自由」が屈託なく宿る場所なのだ。
そこに立ちながら「おいでよ、抱きしめてあげよう」と手を広げるエルヴィス、そして僕達は間違っても「青い靴」を踏まないように傍に近寄る。宝物を覗く。体温の温かさが伝わる。
そんな作業を何度繰り替えしてきたのだろうか?
このシンプルな「戦い」の楽曲を、この歌の主人公の涙以上の体温であたたためながら、歌う瞬間にエルヴィスは自身を含め、すべての人々に問いかけている、
あるいは問いかけたかったものは何だったのか?
それは分からないけれど、「美しい曲です」と語り熱唱するエルヴィスの気持ちがこんなにも熱かったことだけは真実なんだ。多分それだけは。
<想い出のバラード/MAKE THE WORLD GO AWAY>を見つめながら、「熱くなりたいな」と思い、「熱くなるんだ」と自分に檄を飛ばす。
そしてこのパフォーマンスは、
どんな人間にも守るもの
守りたいものはあるのだ
と勇気をくれる。
守りたいものはあるのだ
と勇気をくれる。
*世間なんか遠ざけて
僕の肩から振りはらって
昔のように囁きあおう
そう、世間なんか遠ざけて
覚えているかい、愛し合ってた頃を
世間がふたりをひきはなす前のことを
忘れてないなら許しておくれ
そして世間なんか遠ざけよう
*アドリブでくり返し
君を傷つけたのならあやまるよ
時間をかけて償おう
どうか僕を許してほしい
そして世間なんか遠ざけよう
時間をかけて償おう
どうか僕を許してほしい
そして世間なんか遠ざけよう
*アドリブで2回くり返し
エルヴィスがいた。